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日々の活動記録、つーことで。


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by kawasaki-marins
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かわまりさんちの原子力講座(その1)

地震の日から3週間以上たち、被災地は少しずつでも復興に向けて動き出しているというニュースも聞こえるようになってきましたが、福島第一原発は先が見えない状況。
一昨日あたりからは、極めて高濃度に汚染された水が流出しているとのこと。
福島第一原発付近の海には相当の放射性物質が流れ込んでしまったようです・・・

と、日々、原発の状況に一喜一憂している私を見て何が問題なのかと聞く姉娘。
いや、私の知識も教養レベルなんですが、問題点を整理するのは良いことです。ということで、自分のアタマの整理がてら説明してみましたよ。


(1)地震直後の原子炉って何がヤバかったの?

地震により、原子炉は緊急停止しました。核分裂を起こすための燃料棒のあいだに制御棒を挿入して、核分裂反応を抑制するのです。

原子炉では、核分裂時の熱を使ってお湯を沸かし、その蒸気を使ってタービンを回して発電します。核分裂反応は言ってみればドミノ倒しのように連続して起こっている(臨界状態)のが特徴で、制御棒を使っても即時停止と言うわけではなく、また、核分裂によって生成されている放射性物質も熱を発生しています。

ということで、制御棒を突っ込んだ後も、原子炉の冷却を続ける必要があります。そうしないと、発生した蒸気の圧力が高まり、最悪の場合には核燃料を収めている圧力容器や、その圧力容器を収めて外に放射性物質が漏れないようにしている格納容器が破裂して中身を外にぶちまけてしまいます。
さらに、水が水蒸気になった分、中の水位も下がって燃料棒が水から顔を出す状態になってしまいます。そうなるとなにがマズいって、燃料棒自体の温度もどんどん上がって燃料棒が溶けてしまうのです。溶けた燃料が例えば圧力容器の底に溜まったりしたら・・・その熱で圧力容器が溶けて燃料が外に漏れだしてしまう可能性もあります。さらに、制御棒も働きようがなくて、こんどは人間が制御することができない状態での核分裂反応が始まってしまうかもしれません。そうすると、核爆発こそ起こりませんが、とんでもない熱と、放射線が出っぱなしになって人間が近づくどころの話ではなくなってしまいます。
この状況が、一番恐れられていた「メルトダウン」です。

ですが、福島第一ではその非常用の冷却装置を動かすための発電機が津波でダメになってしまい、バッテリーの電気や非常用の電源車を使って細々と冷却することしかできない状況になってしまったのです。まさに焼け石に水。
同じく地震の被災地にあった福島第二、女川の2ヶ所の原発では、発電所の施設が第一よりも新しく、また高い位置にあったことにより津波の影響はそれほど受けずにすんだようですが、福島第一については設備設置時の想定を超えた津波による被害が出てしまったわけです。

格納容器内の水はどんどん水蒸気になり、圧力が高まっているらしい・・・のですが、なにせ電力が届かずセンサー類もまともに確認できないようで、真っ暗闇で手探りもできないなかにいるような状況。

とにかく、圧力容器&格納容器が無事であること。
そのために、格納容器の水蒸気を抜いて中の圧力を下げる作業を行ったのが地震の翌日の3月12日でした。
これに伴い、とりあえずの最悪の事態の回避を行ったわけですが、その代わりに格納容器内の放射性物質が外気に放出され、周囲の放射線量がどんどん上がって行きます。この当日、原発敷地境界で1000ミリマイクロシーベルト/時(ごめん、間違えた!)を超える値が観測されています。
もちろん、このときには周囲の住民は避難しています。このときにはまだ周囲10kmの範囲が避難対象でしたが、即刻20kmが避難対象に加えられました。さらには30kmまでのエリアで屋内退避が指示されます。

この後も、とにかく原子炉を冷やせ冷やせで水をかけまくって、なんとか最悪の事態にはいたらずに済んでいます・・・が、あんまり良くもなっていないと言うのが現状でしょうか。メルトダウンこそまあ大丈夫そうですが、高濃度に放射性物質で汚染された水がどんどん流出していたりと、ひとつも安心できない状況が続いています。


(2)放射線ってなんでヤバいの?

さて、原子力発電所の事故で常に問題になるのが、この放射線の問題です。
放射線にはいくつか種類がありますが、だいたいこんな感じ。

 アルファ線=ヘリウムの原子核(陽子2個+中性子2個)が原子核から放出されるもの
 ベータ線 =中性子が陽子に変化するときに出てくる電子が原子核から放出されるもの。
 ガンマ線 =アルファ線やベータ線が出てくるときに出てくる電磁波。X線の親分。
 中性子線 =中性子が飛び出してくるもの。

こいつらの何が問題かというと、いずれも高いエネルギーを持った粒子(あるいは電磁波)ですので、これが細胞に当ると、直接あるいは間接的にDNAを破壊してしまうのです。
ちょっとで済めば良いのですが、大量に放射線を浴びることによって、DNAの損傷が大きくなり、その細胞は分裂できなくなって細胞が死んでしまいます。
人間の身体では60兆の細胞があると言われていますので、ちょっとやそっとの細胞なら問題はありませんが(事実、普段から自然の放射線を浴びて生活していますからね。)一度に大量に細胞が死ぬと、それはヤバいことになってしまうわけですよ。
また、放射線によって細胞が死ななかったとしても、癌になったりして身体に悪影響がでてくるわけです。

そのヤバいとされるレベルですが、一度に5シーベルトの放射線を浴びると半数の人が死に至ると言われています。
シーベルトというのは生物に与える影響をはかる単位で、実際の放射線の種類ごとに影響度を計算して合計したものです。
一度に、というのも、どんなもんだか良くわかりませんが、細胞が再生する時間より短い間ぐらいではないかと思うのですが・・・どんなもんでしょう。おそらく数日の間というところでしょうか?

また、一度にということではなく、少ない放射線量でも長い間浴びることによっても影響は出てきます。DNAの損傷が蓄積されて行くということですからね。ですが、これについてはある意味確率の世界なので、短期的に被ばくしたケースとは同列には考えられないのが難しい所です。

ですので、こちらについては、人間が通常浴びている放射線量から、かなりな安全側を推測しているというところでしょうか?
現在日本で許容されている、年間に1ミリシーベルトというのは、自然に被ばくしている2.4ミリシーベルトのおよそ半分と思うと、まあこれをちょっとくらい超えても正直影響はなかろう、なんぞと思うわけです。
たとえば、放射線作業を行う女性に対して年間50ミリシーベルトまで許容されていますから(これはもちろん、被ばく量が管理できるから認められる値なので、いつどうなってるか分からない一般の人に対しても同じレベルで論じていいのかというのはありますが)まあ、桁的に考えても10ミリシーベルトくらいでガタガタいうレベルではないんだろうな、と思うわけです。

え、100km/h規制の高速道路を150kmで走ってるわけじゃないんだって・・・でもまあ、大丈夫、でしょ(大汗

ところが、被ばくにもいろいろとパターンがあって・・・
というのは長くなったのでまた明日。
by kawasaki-marins | 2011-04-05 23:16 | たまには時事ネタ
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