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by kawasaki-marins
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一晩に3回

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

森 達也 / 理論社



いわゆる「食育」の本かと思って読み始まったのですが、いい意味で期待を裏切られました。一晩のうちに、私が読み、姉娘が読み、そして亭主までも。一晩に3回読まれた本です。(今日のタイトルでなにかヘンな想像をした人は正直に名乗りでること^^;)

小売りされている肉がどこから、どうやって来るのか。
もちろん、牛肉はウシの肉、豚肉はブタの肉であることや、ウシやブタがどんな動物かということは誰でも知っています。
でも、その生きているウシやブタが、どうやってこの食卓にのぼる、見慣れた肉の形になるのか。
その部分を具体的に知っている人がどれだけいるでしょうか。魚ならさばけても、ウシやブタをさばける人がどれだけいるでしょうか。
その「肉」を作り出すためにどんな人たちが、何を考えながら、どのような仕事をしているのか。さらに、それらの仕事に携わる人たちが日本の歴史と文化の中でどのように扱われてきたのか。
ローティーンの子供たち向けに、親しみやすい平易な語り口で書かれていますが、いわゆる、被差別部落の問題にまで踏み込んで読者の前に提示し、読者に自分で考える事を要求してきます。

これらの問題は、知らずに済まそうと思えば済ませられる世の中になったのかもしれません。しかし、実際にあることを知るということ、そして自分で考えるということがどれだけ重要か、改めて考えさせられる本でした。

著者は、テレビディレクター、映画監督として活動し、これまでも多くのドキュメンタリーを世に問うてきた人だと言うことです。テレビのドキュメントを製作する中で、著者自身が疑問に感じ、そして知り考えたことを、決して声高になることなく、ごく普通の言葉で、読者であろう子供たちに投げかけてきます。
しかし、日常の生活に追われ、自分で考えるということをついつい忘れがちになる、また、つい誰かに頼って楽をしようとする大人にも読んで欲しいと思う本でした。

個人的には、この本を読んでいろいろ思い出しましたね。
子供の頃、田舎に住んでいたときに、飼っていたニワトリを絞めて食べたことがあります。もちろん、実際に絞めたのは父や叔父たちでしたし、私も小学校の低学年くらいだったので絞める所には立ち会わされませんでした。
それでも、クビを落とされて裏庭の木に吊るされ、血抜きされている姿は今でもはっきり思い出せます。さばいている所も所々記憶に残っています。
そうやってさばいたニワトリはモツまですっかり食べていたと思います。

また、やはり子供の頃読んだ「大草原の小さな家」で、冬の保存食料のためにブタをまるまる一頭さばくシーンも思い出しました。それこそ血の一滴も無駄にせずに一頭すべてを利用し尽くします。その行為の中には、と殺される瞬間の悲鳴を聞かないためにベッドに隠れているという、単純な畏れあるいは悲しさこそあれ、後ろめたさは感じません。

食べるという、人間の生命に直結した所作は、すべて他の生き物の命を奪うことによってなりたっています。そのことに後ろめたさを感じる必要はないと思っています。まあ、最近の食べ物を無駄にしている社会はまた別の問題としてですが。
しかしその中でケモノの命を奪うということに、日本では特別な感情と思惑を持って接してきました。そのことについて、改めてじっくりと考える必要を感じました。
by kawasaki-marins | 2008-12-15 21:52 | 読んだり聴いたり
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